『ファイト・クラブ』
デヴィッド・フィンチャー監督×エドワード・ノートン×ブラッド・ピットという夢の組み合わせによるエッジのきいたサスペンス映画。
ストレス社会に生きる青年が落ちていく世界を素晴らしい演出、ヴィジュアル、役者の熱演で見せていきます。
僕(エドワード・ノートン)は自動車会社に勤めるエリート。
高級コンドミニアムに住み、理想的な生活を送っているがが、常に不眠症だった。
そんな彼の前にターデン(ブラッド・ピット)が現れてふざけて殴り合ったとき、僕は痛みから生を感じ、暴力行為にはまっていく。
二人で「ファイト・クラブ」として、喧嘩をゲームにする秘密クラブを始めまるが、ターデンは、どんどん過激に走っていく……。
『ゲーム』でも最後のどんでん返しで観客をギョっとさせたフィンチャー監督。
本作もどんでん返し映画ですが、質がレベルアップし、より人間の精神に深く切り込んでいきます。
ターデンはなぜ僕の前に現れたのか、僕が不眠症だったのはなぜか。
すべてに伏線がはられており、それらが紐解かれていく後半は鮮やか!
フィンチャー監督の映画作りのセンスにうなります。
『情婦』
アガサ・クリスティ原作「検察側の証人」を名匠ビリー・ワイルダーが映画化したミステリー。
元祖どんでん返し映画といってもいいかもしれない作品で、名匠ワイルダーの演出と演技派たちのベストパフォーマンスが生んだ傑作です。
富豪の未亡人が殺され、レナード(タイロン・パワー)が容疑者としてあげられる。
彼のアリバイを証明できるのは彼の妻クリスティ(マレーネ・ディートリッヒ)だけ。
レナードの弁護を担当するのはウルフリッド(チャールズ・ローストン)だが、彼の目には、クリスティはすでにレナードに愛情はないように見えていた。
その後、クリスティは検察側の証人として召喚され、「夫が未亡人を殺した」と証言する。
ビリー・ワイルダー監督はコメディも得意なだけあって、ウルフリッド弁護士と付き添い看護士のやりとりが、このミステリーに良きテンポをもたらせています。
しかし、そんな微笑ましさも後半のすさまじい展開で吹き飛びます。
愛の深さゆえに仕組まれたトリックからの、裏切りのWどんでん返し。
さすが名匠ビリー・ワイルダー、とうなる作品です。
『スティング』
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード主演による詐欺映画の金字塔『スティング』。
これほど観客を喜ばせたどんでん返し映画はないかもしれません。
ニューマンとレッドフォードの相性も抜群でバディ映画としても大人気となり、第46回アカデミー賞作品賞を受賞しました。
若い詐欺師のフッカー(ロバート・レッドフォード)は、師匠ルーサーをロネガン(ロバート・ショウ)に殺され復讐に燃えていた。
彼はルーサーの友人のゴンドーフ(ポール・ニューマン)と手を組んで、ロネガンへの復讐を仕掛けることになるのだが……。
復讐といっても命を狙うギャング映画のようなものではなく、この詐欺コンビが仕掛けたのは、ロネガンをだまして大金をせしめる作戦。
賭博好きの彼をおびき出すために賭博場を作り、フッカー、ゴンドーフほか詐欺仲間で役割分担をして作戦を決行するのです。
この映画の凄さは、観客がフッカー&ゴンドーフの詐欺師側から事の次第を見ているにもかかわらず、いつの間にかこちらも騙されているという演出のマジック。
これが鮮やかに決まったからこそのラストのどんでん返しです。
世界中の人が笑顔になった、大スター二人が仕掛けたトリック、未見の人はぜひご覧ください。
『エンゼル・ハート』
人気絶頂期のミッキー・ロークとロバート・デ・ニーロと共演した英国の名匠アラン・パーカー監督作。
私立探偵が受けた「人探し」の依頼が思いがけない展開を見せていくオカルトミステリー映画です。
私立探偵のハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は、ルイ・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から、歌手ジョニー・フェイバリットを探してほしいと依頼を受ける。
ハリーはさっそくジョニーが収容されていた精神病院を訪れるが手掛かりはなく、各所を探し回る。
しかし、その居場所がつきとめられないばかりか、行く先々で殺人事件が起こることに。
暗い映像、冒頭から不穏な雰囲気の中、私立探偵のハリーも依頼人のサイファーの怪しさ満点で、これからどんなことが起こるのかとゾワゾワします。
ジョニーの関係者が殺される中であぶりだされていく悪魔崇拝者の存在、それが真相の鍵になっています。
なぜハリーは殺人事件に巻き込まれていくのか、ジョニーはどこに消えたのか。
ジョニーの居場所をハリーがつきとめたときのショックは大きく、サイファの目的も恐ろしい。
どんでん返しのあるオカルトホラーの佳作と言えるでしょう。