『古畑任三郎』とは
『古畑任三郎』は1994年から放送されたテレビドラマ。
田村正和演じる警部補・古畑任三郎が、ゲスト演じる犯人による犯罪のアリバイやトリックを巧みな話術と卓越した推理力で崩していき、完璧と思われていた犯行の真相を解明していく。
人気の海外ドラマ『刑事コロンボ』の手法「倒叙ミステリー」を採用しており、まず番組冒頭で犯行の全容をすべて見せ、古畑が真犯人を追い詰め、自供に導いていく様を描いています。
古畑任三郎の特徴的なキャラクターと、犯人役を務める豪華ゲスト陣が話題となり、3シーズンにわたって放送されたほか、単発のスペシャル版も作られ、2006年のファイナルをもって完結しました。
『死者からの伝言』(ゲスト:中森明菜)
・第1シリーズ第1話(通算1作品目)
・初回放送:1994年4月13日
・犯人役:中森明菜
古畑任三郎シリーズの神回エピソード1つめは、記念すべく第1話目の『死者からの伝言』です。
人気少女漫画家・小石川ちなみ(中森明菜)が、自分を捨てた元恋人である編集者(池田成志)を別荘の地下倉庫に閉じ込め窒息死させる。
そして、3日後のある嵐の夜。
窒息死した死体を発見するために、別荘に戻ってきたちなみと愛犬まんごろう。
そこへ偶然、車のガス欠で立ち往生してしまった古畑が助けを求めてやってきます。
地下の死体は、左手に原稿、右手にペンを持っていましたが、原稿は白紙です。
はたして、このダイイングメッセージが意味するものとは?
脚本家の三谷幸喜が中森明菜のファンだったために実現したといわれる、この豪華な初回ゲスト。
物語の随所に散りばめられた伏線を、後半で古畑が鮮やかにに回収していくスタイルが視聴者に衝撃を与えた神回エピソードです。
また、小石川ちなみについては、古畑任三郎シリーズを通して何度も言及されているので、古畑にとっても特別な事件であることは間違いないでしょう。
『さよなら、DJ』(ゲスト:桃井かおり)
・第1シリーズ第11話(通算11作品目)
・初回放送:1994年6月22日
・犯人役:桃井かおり
古畑任三郎シリーズの神回エピソード2つめは、犯人役の桃井かおりさんがカッコいい『さよなら、DJ』です。
ラジオ番組の人気DJ・中浦たか子(桃井かおり)は、出演しているラジオ番組の生放送中に付き人エリ子を殺害。
その殺害時間は、ラジオで「サン・トワ・マミー」が流れていたわずか3分間でした。
事前にエリ子に自分が愛用する赤いセーターを贈り、たか子と間違えて殺害されたと見せかける用意周到な殺人計画…
たか子への脅迫状の件で相談を受け、たまたま収録スタジオに来ていた古畑は、「サン・トワ・マミー」の後、エルビス・プレスリーの曲をかけるときに、手が震えてレコードの針を落とせなかったたか子の様子に不自然さを感じ、彼女を疑い始めます。
犯人役の桃井かおりさんのサバサバしたキャラクターが非常にカッコいいエピソードです!
「おたかさん。実は犯行を認めていました。しかもラジオの中で。彼女、自分が犯人であるとほとんど認めていたのです。ヒントは……(古畑の笑い)コレです。古畑任三郎でした。」という、視聴者への挑戦も、謎解きドラマ好きにはたまりません。
また、この後、古畑任三郎シリーズや三谷幸喜ドラマ『王様のレストラン』などに度々登場する、いつも落ちがわからないまま終わる小咄『赤い洗面器の男』が、はじめて登場するエピソードでもあります。
『しゃべりすぎた男』(ゲスト:明石家さんま)
・第2シーズン第1話(通算14作品目)
・初回放送:1996年1月10日
・犯人役:明石家さんま
古畑任三郎シリーズの神回エピソード3つめは、犯人と古畑との台詞対決が爽快な『しゃべりすぎた男』です。
戦略結婚のために、邪魔になった恋人ひな子(秋本奈緒美)をガラスの水差しで撲殺した凄腕の弁護士・小清水潔(明石家さんま)。
そして、その容疑は、その直後にたまたまひな子の部屋を訪れた今泉に向けられて、逮捕されてしまいます。
ひな子に熱をあげていた今泉は、留守番電話にも何度もメッセージを残していて、このままでは有罪確実。
今泉は、真犯人とは知らず、大学時代の友人である小清に自分の弁護を依頼してしまい、清水は今泉に傷害致死を認めて罪を軽くしようと説得します。
古畑は清水が犯人だと睨むも、状況は圧倒的に不利。しかし、古畑は法廷記録に、清水がうっかり口にしたある言葉を見つけます。
『しゃべりすぎた男』というタイトル自体が、伏線になっているという大胆なストーリー!
熱い法廷対決では、あまりにもふざけているさんまさんに対して、田村正和さんが思わず本気で起こって口にしたという有名なアドリブのシーンも見逃せません。
『赤か、青か』(ゲスト:木村拓哉)
・第2シーズン第4話(通算17作品目)
・初回放送:1996年1月31日
・犯人役:木村拓哉
古畑任三郎シリーズの神回エピソード4つめは、古畑が思わず犯人を平手打ちした『赤か、青か』です
天神大学の電気工学部助手・林功夫(木村拓哉)は、深夜に遊園地内の観覧車に時限爆弾を仕掛けます。
しかし、その帰りに自転車のカギをなくしてしまい、チェーンを切ろうとしているところを警備員に注意され、口封じのために懐中電灯で撲殺してしまうのでした。
翌日、林は遊園地に脅迫電話。
ところが皮肉なことに、警察から爆弾解除の協力の依頼を受けたのは、爆弾を仕掛けた本人である林でした。
観覧車には、今泉が乗っています。
赤のコードと青のコード、どちらを切るのか?
限られた時間の中で、古畑が林に仕掛ける華麗な逆トリックが見どころです!
『赤か、青か』は、身勝手すぎる犯行動機に、古畑任三郎シリーズ全43話の中で、唯一、古畑が犯人に手をあげたエピソードです。
当時23歳のキムタクの演技も新鮮ですが、肖像権の問題で、なかなか再放送されることがないのが残念!
『頭でっかちの殺人』(ゲスト:福山雅治)
・第3シーズン第8話(通算35作品目)
・初回放送:1999年6月1日
・犯人役:福山雅治
古畑任三郎シリーズの神回エピソード5つめは、安楽椅子探偵ならぬ、安楽椅子殺人を実行した『頭でっかちの殺人』です。
事故で足が不自由になり、車椅子生活を送る化学者・堀井岳(福山雅治)は、もと恋人の恵(戸田菜穂)の婚約者であり、研究所の同僚で親友の等々力(板尾創路)を妬み、殺害を計画。
堀井は、爆弾を仕込んだ『ロダンの考える人』像を等々力に婚約祝いとして贈り、遠隔操作で等々力のみを爆殺します。
そして、一見、元恋人の恵を取り戻すために見えた堀井の殺人計画は、実は、さらに冷酷なものだったのです。
一歩も殺人現場に足を踏み入れることなく行われる安楽椅子殺人は、おもしろいテーマではあるけど、そこまで斬新ではないな…と、思いながら見進めていって、堀井の真の目的に気づいたときのゾクゾク感がたまりません!