セブン(1995)
これまでに生み出されたネオ・ノワール作品の中でも、最も容赦のない作品の一つが、デヴィッド・フィンチャー監督が手掛けた『セブン』です。
「7つの大罪」になぞらえて殺人を繰り返す連続殺人鬼を追う刑事たちの物語で、作中ではショッキングな殺害現場も登場しますが、この映画の本当の「厳しさ」はそのラストにあります。ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンのW主演、ということでも話題になりました。
プレステージ(2006)
ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが競い合う二人のマジシャンを演じた映画『プレステージ』は、クリストファー・ノーラン監督が脚本・監督を手掛けた映画の例にもれず、すべてが見かけ通りとはいきません。
「Reddit」ユーザーの「Zeldamaster702」が、「なんてジェットコースターのようなエンディングなんだ!」とコメントしている通り、ラストにどんでん返しがあることを観客全員が分かった上で、実際に何が起こるのかを予想できる人はほとんどいない、というのが本作の魅力の一つですね。
セッション(2014)
ジャスの祭典での喝采を手に入れるべく、練習に明け暮れるドラマーの青年と音楽教師の激しいぶつかり合いを描いた映画『セッション』。
二人の男による90分にもわたる嵐のような怒り、屈辱、不道徳の応酬を乗り越えた最後の10分間には、言葉でも拳でもなく、ただ音楽によってそれまでのすべてのエネルギーが爆発し…見る人の心に強烈な印象を残す作品です。
2015年の第87回アカデミー賞では、音楽教師を演じたJ・K・シモンズが助演男優賞を獲得したほか、編集賞、音響編集賞の2冠も獲得しています。
マトリックス(1999)
現実世界での生き残りをかけて、仮想現実を戦い抜く「救世主」を描いた映画『マトリックス』。
深い哲学的な会話や、常に観客に「現実とは何か」を問い続けるという、SF作品としての難しさも愛されていますが、『マトリックス』はその戦闘シーンの激しさやスケールの大きさでは、これまでに生み出された作品の中でも揺らがない人気を確立しています。
キアヌ・リーヴス演じる主人公ネオが最終決戦に必要なものを問われた時の「guns, lots of guns,(銃、ありったけの銃をくれ)」は、シリーズ屈指の名セリフとして有名ですね。さながらゲームのラスボス面のような銃弾の雨、硝煙舞い散る中で砕けるコンクリートブロック…映画ラストのバトルシーンは圧巻の一言です。
ブラック・スワン(2010)
完璧を追い求めるあまり、一人のバレリーナが自らを追い詰めてゆく姿を描いた映画『ブラック・スワン』。
水面下で繰り広げられる熾烈な順位争い、自身の破れた夢を娘に肩代わりさせようとするステージママ、バレリーナたちへ重圧をかけ続ける演出家…プリマに抜擢された主人公の目線を追いかけているはずなのに、今観客が見ているのは果たして現実で起きていることなのか、それとも彼女が頭の中で見ていることなのか、判別がつかなくなってくる不気味さが終始漂う作品です。
主人公が演じ分ける清廉な白鳥と官能的な黒鳥、白と黒、混ざり合わずに交互に現れては消えてゆく狂気は、耐え切れなくなって爆発するまで膨らみ続け…。あのラストは一度見てしまうと、あまりにも強く印象に残ります。